開館5周年記念委嘱作「ノガケ侍‐吹奏楽のためのファンタジア」初演
〜ノガケ侍が居る相馬の地に寄せて〜
福田洋介
私にとって相馬は、狭い日本の中でも机上の目的地でしかなく、なかなか足を運ぶことがなかった場所。様々なご縁があって今回「相馬の地」をテーマに楽曲を創作する機会を得られてから、取材のためにこの地を訪れて感じたのは、この地にはたしかにはるかなる山海の姿が相馬の澄んだ空気を生んでいるし、情緒の豊かな相馬の人達が居るということ。
馬という古来の生活文化が、ここまで根強く伝統として残される場所も今は少ないでしょう。勇壮な「相馬野馬追」では庶民が馬を器用に乗り回す、というのもまた不思議な光景。もしかしたらまだこの土地に人情味のあるサムライがたくさん居て、人間味ある姿で駆け回っている地なのではないかと…。
曲はドラマチックに野を駆ける侍の勇姿と、「相馬流山」をモチーフに人情模様をファンタジックに描いています。
ゆめはっと5周年を記念し、南相馬の皆様にお届けします。 |

2009年7月25日 作曲家による指導の様子 |
<作品コンセプト>
作品は、代表作「風之舞」や「華円舞」などにおいて、私が長くコンセプトとしている「ニホンゴの音楽」のスタイルでつくっている。いたずらに日本の音律を西洋楽器によるスコアでデフォルメするのではなく、我々日本人のスピリットを音にしたためることが大きなテーマ。サムライの姿を示すために選んだフレーズやサウンドは、まるで大河ドラマのような「ベタな時代劇」の音楽だったという(笑) 一方、中間部の響きは優しい「うた」に溢れているが、これも相馬の地を訪れて感じた、「おだやかさ」に起因している。 |
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